ここでは労働審判申立書を受け取った会社が知っておくべきこと、労働審判への対応方法、弁護士費用についてご説明します。
労働審判申立てについては、訴訟等よりも迅速に、至急の対応が必要という事にご注意いただきたいと思います。
お急ぎ会社としての対応方法を知りたい方は「2.労働審判手続きの流れ・必要な対応方法」をご覧ください。
目次
1.労働審判とは?
1-1.労働トラブルの相談内容件数 TOP5
残業代未払い、セクハラ・パワハラ、違法残業など、近年、会社と従業員の間に起こる「労働トラブル」は後を絶えません。
厚生労働省の調査では、労働相談件数は11年連続で100万件を超え、特に「いじめ・嫌がらせ(ハラスメント)」に関する労働紛争の相談件数が過去最高となっています。
【1位】 26%・・・いじめ・嫌がらせ(ハラスメント)
【2位】 13%・・・自己都合退職
【3位】 10%・・・解雇
【4位】 8%・・・労働条件の引下げ
【5位】 7%・・・退職勧奨
【その他】 雇止め、出向・配置転換、雇用管理等、募集・採用、採用内定取消
こうした労働トラブルを解決するために、裁判手続をする場合、通常1年以上の期間と労力がかかってしまいます。
そこで、労働問題を裁判より迅速かつ適正に解決しようと2006年から始まったのが「労働裁判制度」です。
1-2.労働審判はなぜ早急な対応が必要なのか?
労働審判とは、労働審判官(裁判官)1名と、労働審判員(民間人)2名で構成される労働審判委員会が事件を審理する制度です。(労働審判法1条)
調停(話し合い)成立による解決の見込みがある場合には、調停で解決します
調停(話し合い)が成立しない場合には、労働審判が下されます(労働審判法1条)
このように審理期間が短いということは、会社にとって対応するための時間が少ないということ!
労働審判事件については、第1回審判期日で裁判官の心証が決まってしまうことも多く、会社側はこの期日までに反論の準備をしなければなりません。
早急に動き出すことが極めて重要です。
2.労働審判手続の流れ・必要な対応方法
裁判所より「第1回労働審判手続期日呼出状及び答弁書催告状」と申立書類一式がお手元に届き、対応に困られていないでしょうか?
これは従業員、もしくは元従業員から会社が訴えられ、早急に対応が必要という状況になります。
2.裁判所(労働審判委員会):事件を受理 → 「第1回労働審判手続期日」の指定
初回の審判期日は、原則として申立日から40日以内に指定されます(労働審判規則13条)
3.会社・社長:裁判所より「第1回労働審判手続期日呼出状及び答弁書催告状」と申立書類一式がお手元に届きます
4.会社・社長:弁護士へ相談・依頼( 1週間以内)
第1回期日までに、事案を調査、整理し、できる限り詳細な答弁書・証拠を提出する必要があります。
( 答弁書の提出期限は第1回期日の1週間〜10日程前)
この時点までに提出しなければ、労働審判官と労働審判員に読んでもらえない可能性があります。
時間的に非常に限られているため、労働審判手続に豊富な実績がある弊所へ大至急、ご相談ください!
期日呼出状で指定された第1回期日にどうしても出席できない場合、できるかぎり速やかに裁判所に連絡する必要があります。 なお、労働審判の場合、第1回期日に出席しないことは許されず(出席しなかった場合、不利に扱われます)、期日の変更も原則として認められていないことに注意が必要です。 ②調査・聴取 申立書に記載されている労働者の主張する事実について、事情をよく知る社員や上司などから詳しく事情を聴くことになります。事実として認める部分や否認するべき部分などについて、詳しく調査を行う必要があります。 また、申立書に記載されている事実以外に会社にとって有利な事実がないかを確認しておくことも重要なことです。どのような事実が会社にとって有利かという点については、争われているケースごとに判断せざるを得ませんが、例えば雇止めが争われている場合、上司に暴言を吐いていたといった事実が会社にとって有利な事実となりえます。 なお、こうした調査・聴取を行う際は、客観的な裏付資料を確保しておくことが極めて重要です。LINEやメール、業務日誌、録音など、会社側の主張を支える証拠を確保しておきましょう。 ③答弁書の作成・提出 上記②の調査・聴取を踏まえ、答弁書を作成し、提出期限(第1回期日の1週間~10日程度前)までに提出します。答弁書の提出期限を守れない場合、審判委員は会社の姿勢に厳しい見方をするほか、申立書のみを熟読する結果、会社に不利な筋書が強く印象付けられることになるといった指摘がされているため、十分注意すべきでしょう。 ④第1回期日に向けた準備 第1回期日の審尋に備え、労働審判官や労働審判員から質問されるであろう事柄について、どのように回答すべきか、出席する予定の社員等で事前に打合せを行っておくべきでしょう。具体的に想定問答を用意し、審尋の予行演習を行っておくことが有効です。 第1回期日では審判委員等からどんどん質問がなされ、「答えられないという部分も含めて心証をとってしまって」いるとのことであり(ぎょうせい「弁護士専門研修講座 労働法の知識と実務」6頁)、担当者が当該事件のポイントを踏まえた的確な回答をしなければならないことに注意が必要です。
6.第1回労働審判手続期日( 2時間30分程度、これより長くなる場合も)
第1回期日では「審尋(当事者その他の関係人に、書面又は口頭で陳述の機会を与えること)」がなされ、これを踏まえて「調停(合意による解決)」が試みられます。
審判官や審判委員からは、重要だと考える事実や疑問について、次から次に質問がなされますので、事前準備が大変重要となります。 労働審判委員会は、第1回期日の審尋の段階で、いずれの主張を認めるべきかなどについて心証をとってしまっているようです。 実際に、現役裁判官もこの様に述べています。 このように申し上げると、特に相手方(筆者注 会社側)は大変だろうと推察しますが、ここはぜひ頭に置いていただければと思います。 ・・(中略)・・第1回期日で勝負が決まります。 (ぎょうせい「弁護士専門研修講座 労働法の知識と実務」5頁)
8.第3回労働審判手続期日( 審尋時間目安は、5分から1時間程度)
9.調停不成立の場合 → 労働審判
第3回期日までに調停が成立しない場合は、概ね労働審判委員会が示した調停案に沿った審判がなされます。
10.労働審判に不服がある場合 → 異議申し立て( 告知を受けてから2週間以内)
3.千瑞穂法律事務所の対応内容と、企業様のメリット
3-1.裁判所とのやりとり
裁判所に対する要望について、上申書を提出するといったことも行います。
3-2.調査・聴取
個別の労働審判ごとにポイントとなる事情を踏まえた聴取を実施するため会社にとって有利となる事実を漏らさない調査・聴取が可能です。
弊所が直接調査・聴取を行う場合、会社側の主張を裏付ける客観資料(証拠)についても、直接社員等に確認するため有利な証拠を確保することが容易となります。
大企業の場合、聴取は法務部や総務部等に行っていただくこともありますが、その場合でもどのような事柄について調査や聴取を行うべきかについてアドバイスを行っております。
3-3.答弁書の作成
かかる答弁書案については、提出前に会社にお送りし、内容に問題がないか否かのご確認をいただいてから、裁判所に提出します。
3-4.第1回期日に向けた予行演習
具体的には、個別の労働審判ごとに問題となるポイントを踏まえ、弊所が労働審判官や労働審判員であった場合に質問を行うであろう項目を想定問答としてまとめ、実際に予行演習を行います。
審尋の予行演習は、会社として主張すべき点を整理するという意味でも、緊張感ある審尋の場面で的確に回答する心構えを持つという意味でも、とても大切であると考えております。
3-5.期日における対応
補足説明を行わないまま進んだ場合、労働審判官や労働審判員は誤解を持ったまま心証を形成することになりかねないため、特に重要な役割であると考えております。
労働審判の対応実績豊富な千瑞穂法律事務所に、ぜひお任せください!
4.労働審判対応の豊富な対応実績・事例があります
他にも多数の実績がありますので、お気軽にお問合せください。
5.労働審判対応の弁護士費用
初回ご相談は無料です。その他弁護士費用についてはこちらをご覧ください。
6.ご相談の流れ
千瑞穂法律事務所に企業法務にまつわるご相談や各種お困りごと、顧問契約に関するご相談をいただく場合の方法をご説明します。
【1】 お電話の場合 「082-962-0286」までお電話ください。(受付時間:平日9:00〜17:00) 担当者が弁護士との予定を調整のうえ、ご相談日の予約をおとりします。
【2】 メールの場合 「お問い合わせフォーム」に必要事項をご入力のうえ、送信してください。(受付時間:年中無休) 送信いただいた後に担当者からご連絡し、ご相談日の予約をおとりします。
※ 夜間や土日のご相談をご希望のお客様については、できるかぎり調整しますのでお申し出ください。
見積書をご確認いただき、ご了解いただいた場合には、委任状や委任契約書の取り交わしを行うことになります。
この場合、当該案件について電話やメールによるご相談が可能です。
進捗についても、適時ご報告いたします(訴訟対応の場合、期日経過報告書をお送りするなどのご報告をいたします)。
労働審判は原則として、3回以内の期日で終結する非常にスピーディな手続です(同法15条2項)
平均審理期間は約79日、申立てから3か月以内に約69%の事件が終了しています
最高裁判所の公表している資料より(裁判の迅速化に係る検証に関する報告書 (第7回))