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下請法違反にまつわる問題社員への指導について

問題社員への指導シリーズ 下請法違反

下請代金支払遅延等防止法(以下、「下請法」といいます)に違反してしまった場合、行政機関から勧告・指導を受けるだけではなく、刑事罰を科されるおそれもあります。また、個別のケース次第ではありますが、マスコミ報道がなされることもあり、社会的な信用失墜のリスクもあります。

ところが、取締役などの経営層や管理職は下請法の存在や内容を知っていても、担当する現場の社員がどのような事例が下請法違反になってしまうのかを知らない結果、下請法違反となってしまっているケースを頻繁にお見掛けします。

本記事では、下請法との関係でどのようなことをしてはいけないのかについて、実務上よく問題となる具体例をご紹介します

親事業者の経営層や管理職として社員に指導される場合下請事業者として何を主張できるのかの参考にしていただければ幸いです。

1.下請法違反となる問題行動・NG対応

千瑞穂法律事務所は、企業間取引の問題や問題社員の対応に関するご相談等をお受けしていますが、その中でも比較的よく問題となるのが下請法違反の話です。

下請法違反は業務上横領などのように会社に対する犯罪ではないためか、下請法違反をしてしまった社員に問題意識がないことも少なくありません。

むしろ、自らの営業成績のためや会社のためになると思って、買いたたきや受領拒否などをしていることもあります

そこで、本記事では、どのような行為が下請法違反となってしまうのかについて、公正取引委員会の公表している実際の事例をもとに、よく問題となるケースをご紹介します。

(1)受領拒否の禁止

「下請事業者の責に帰すべき理由がないのに、下請事業者の給付の受領を拒むこと」は禁じられています(下請法第4条第1項第1号)。

具体的には、以下のような行為は許されません。

取引先から納期の変更を求められたことを理由に、下請事業者との納期に商品を受領しなかった。

余剰在庫を理由に、発注した商品の一部をキャンセルし、受領しなかった。

・発注書面に記載された、発注数量の全量を受領する期限を経過したにもかかわらず、下請事業者からの給付の受領を拒んだ。

・顧客からの受注に応じて、自社が必要とする都度、下請事業者に納品を指示して受領する体制を採っていたところ、給付を受領する期間である納品期間の末日を経過しているにもかかわらず、その下請事業者の給付の一部を受領しなかった。

(2)支払遅延の禁止

「下請代金をその支払期日の経過後なお支払わないこと」も禁じられています(下請法第4条第1項第2号)。より具体的には、発注した物品等の受領日から、60日以内で定められている支払期日までに下請代金を支払わないことをいい、以下のような行為が許されません。

・検収後に支払いを行うこととされていたところ、検収に時間がかかり、下請事業者の給付を受領してから60日を超えて下請代金を支払った。

毎月末日に締切、翌々月25日支払の体制を取っていた結果、下請事業者の給付を受領してから60日を超えて下請代金を支払っていた。

・消化仕入取引を行っていたことから下請代金の支払期日が定められていなかったため、下請事業者の給付を受領した日が支払期日と定められたものとみなされるところ、一部の下請代金を当該期日の経過後なお支払っていなかった。

(3)減額の禁止

「下請事業者の責に帰すべき理由がないのに、下請代金の額を減ずること」も禁じられています(下請法第4条第1項第3号)。

下請法違反で問題視される事例のうち、かなり多くのケースが該当しますので、特に注意が必要といえるでしょう。

具体的には、以下のような行為は許されません。

・下請代金の支払までの期間を短縮する代わりに「値引」と称して、下請代金の額を減じた。

・下請事業者に、商品販売時の値引きや新規開店時の試食会のサポート費用と称して、下請代金の額から差し引き又は支払わせていた。

・自社が販売する自動車の部品等の製造を下請事業者に委託していたところ、「割戻金」を下請代金の額から減じていた。

・自動車製造業者等から製造を請け負う自動車部品の製造を下請事業者に委託しているところ、「屑(くず)費」を下請代金の額から減じていた。

・消費者等に販売する菓子等の製造を下請事業者に委託しているところ、「春夏協賛」、 「秋冬協賛」、「支払手数料」の一部、「特別値引き」の額、「クレーム処理代」を下請代金の額から減じていた。

・自社の店舗等で販売する家庭電気製品等の製造を下請事業者に委託しているところ、 「拡売費」、「物流協力金」、「セールリベート」、「キャッシュリベート」、「オープンセール助成」、「発注手数料」を下請代金の額から減じていた。

(4)返品の禁止

「下請事業者の責に帰すべき理由がないのに、下請事業者の給付を受領した後、下請事業者にその給付に係る物を引き取らせること」は禁じられています(下請法第4条第1項第4号)。

具体的には、以下のような行為は許されません。

・生産計画が変更されたことを理由に、余剰になった部品を返品した。

・下請事業者から商品を受領した後、当該商品に係る品質検査を行っていないにもかかわらず、当該商品に瑕疵があることを理由として、当該商品を引き取らせていた。

・売れ残った商品について、賞味期限切れシーズン終了後の余剰在庫として返品した。

上記のうち、「品質検査を行っていないにもかかわらず、当該商品に瑕疵があることを理由として、返品を行っていた」という指摘は、多くの企業で問題視されており、十分注意しておく必要があるでしょう。

(5)買いたたきの禁止

「下請事業者の給付の内容と同種又は類似の内容の給付に対し通常支払われる対価に比し著しく低い下請代金の額を不当に定めること」は禁じられています(下請法第4条第1項第5号)。

具体的には、以下のような行為は許されません。

・単価引上げを求める下請事業者に対して、実際には具体的な単価引上げの計画などないにもかかわらず、段階的に単価を引き上げる旨説明し、製造原価未満の新単価を受け入れさせることにより、下請事業者の給付の内容と同種又は類似の内容の給付に対し通常支払われる対価に比し著しく低い下請代金の額を不当に定めた。

原材料の価格や労務費等のコストが高騰していることが明らかな状況で、下請事業者から値上げの求めがあったにもかかわらず、下請事業者と十分に協議することなく、一方的に価格を据え置いた。

・ビルのオーナーから値下げ要請があったことを理由に、下請事業者と協議することなく、一方的に通常の対価を大幅に下回る下請代金を定めた。

本記事執筆時点の2024年では、物価の高騰が問題視されており、社会問題になっています。安易な価格据え置きには一定のリスクがあるため、十分検討しておくべきと考えます。

(6)購入強制・利用強制の禁止

「下請事業者の給付の内容を均質にし又はその改善を図るため必要がある場合その他正当な理由がある場合を除き、自己の指定する物を強制して購入させ、又は役務を強制して利用させること」は禁じられています(下請法第4条第1項第6号)。

具体的には、以下のような行為は許されません。

・下請事業者の給付の内容と直接関係ないにもかかわらず、下請事業者に対し、おせち料理、ディナーショーチケット等の物品の購入を要請し、あらかじめ従業員又は冠婚葬祭式場等ごとに定めていた販売目標数量に達していない場合には再度要請するなどして、購入要請を行った。

下請事業者に対し、自社で車検を受けることを要請し、車検を受けさせていた。

・下請事業者に対し、自社の取引先である自動車メーカーの自動車の販売先を紹介するよう要請し、紹介しない下請事業者には自ら購入させていた。

(7)不当な経済上の利益の提供要請の禁止

「自己のために金銭、役務その他の経済上の利益を提供させること」は禁じられています(下請法第4条第2項第3号)。

具体的には、以下のような行為は許されません。

・下請事業者に対し、次回以降の具体的な発注時期を示せない状態になっていたにもかかわらず、合計600個の金型等を、引き続き、無償で保管させるとともに金型等の現状確認等の棚卸し作業を1年間当たり2回行わせることにより、下請事業者の利益を不当に害していた。

・返品をするに当たり生じる人件費や保管費等の諸経費の一部を確保するため、「契約不適合商品処理負担金」を提供させることにより、下請事業者の利益を不当に害していた。

・下請事業者に対し、提供させる金銭の算出根拠及び使途について明確にせず、「手数料」として金銭を提供させ、当該金銭に対応する何らの給付又は役務を提供することなく、自社の事業に係る各種取引の支払等に充てていた。

自社の店舗における商品、商品棚、什器等の移動、商品の陳列等の作業を行わせるため、下請事業者の利益との関係を明らかにすることなく、その従業員等を派遣するよう要請し、下請事業者の従業員等に無償で当該作業を行わせていた。

以上が実務上でよく問題となる下請法違反の事例です。公正取引委員会のサイト(https://www.jftc.go.jp/shitauke/)上にはより多くの情報・事例が載っていますので、必要に応じてご参照いただければと思います。

2.千瑞穂法律事務所ができること

千瑞穂法律事務所では、当事務所で対応した過去の事例を踏まえ、下請法に関する全般的なサポートを行っております。

具体的には、特定の事例において下請法違反が問題となるか否かや、どのように対応すれば問題とならないのかといったことについてリーガルコメントを行うほか、社員の方々に下請法に関する研修を行うといったことにも対応しておりますので、下請法に関してお悩みの企業様は、お気軽にご相談ください。

3.問題社員に関するご対応の弁護士費用

初回ご相談は無料です。その他弁護士費用についてはこちらをご覧ください。

5.ご相談の流れ

千瑞穂法律事務所に企業法務にまつわるご相談や各種お困りごと、顧問契約に関するご相談をいただく場合の方法をご説明します。

STEP1:ご相談の予約・お問い合わせ

お電話またはメールにて、千瑞穂法律事務所にご連絡ください。
【1】 お電話の場合 「082-962-0286」までお電話ください。(受付時間:平日9:00〜17:00) 担当者が弁護士との予定を調整のうえ、ご相談日の予約をおとりします。
【2】 メールの場合 「お問い合わせフォーム」に必要事項をご入力のうえ、送信してください。(受付時間:年中無休) 送信いただいた後に担当者からご連絡し、ご相談日の予約をおとりします。
STEP2:ご相談の実施

千瑞穂法律事務所にお越しいただき、弁護士がご相談をお受けします。初回ご相談無料 (ご相談時刻:平日9:30〜19:00)
※ 夜間や土日のご相談をご希望のお客様については、できるかぎり調整しますのでお申し出ください。
STEP3:見積書のご送付・委任契約書等の取り交わし

千瑞穂法律事務所に具体的な対応をご依頼いただく場合、はじめに必要となる弁護士費用や顧問契約の費用等について、見積書をお送りいたします。
見積書をご確認いただき、ご了解いただいた場合には、委任状や委任契約書の取り交わしを行うことになります。
STEP4:事件対応、顧問サービスの開始

委任契約書等の取り交わしを終えた後は、千瑞穂法律事務所において個別案件等の対応を開始いたします。

この場合、当該案件について電話やメールによるご相談が可能です。

進捗についても、適時ご報告いたします(訴訟対応の場合、期日経過報告書をお送りするなどのご報告をいたします)。

6.問題社員に関するお問い合わせはこちらからどうぞ

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