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社員が退職する際の注意点(解雇と自己都合退職、会社都合退職について)

千瑞穂法律事務所では人事・労務問題に関する多くのご相談をお受けしていますが、社員が退職する際の会話が原因となって、「解雇」なのか否かが問題となる事例や自己都合退職なのか会社都合退職なのかが曖昧になっている事例を頻繁にお見かけします。

退職については、争いになった場合、相当高額の損害賠償責任を負うこともあるため(例えば社員の年収相当額などが請求されることがあります)、本記事では、退職時のよくある会話の具体例を紹介しつつ、どのようにすればリスクを回避できるのかなど、社員が退職する際の注意点について、ご説明します。

1.退職時のよくある会話例

 

千瑞穂法律事務所がよくお聞きする退職時の会話は次のようなものです。

【ケース1】
社長:「君が当社で働き始めて1年になるが、ほとんど結果を出せていない。これ以上、当社で働いてもらうことは難しいと思うのだが、君はどう思う。」
社員:「そうですね、自分としては頑張っていると思いますし、このままお世話になりたいと思っていますが、社長がそう言われるのであれば退職するしかないかなと思います。」
社長:「分かってもらえてよかった。それでは今月末で退職ということにしよう。」
社員:「解雇ということですね、分かりました。」

また、次のような会話がなされることもあります。

【ケース2】
社員:「大変申し訳ないのですが、事情があって、この度退職させていただきたいと思っております。」
社長:「そうか、活躍してもらっていた君が抜けるのは大きな痛手だが、やむを得ない。分かった。」
社員:「厚かましいお願いなのですが、自己都合退職ではなく会社都合にしてもらえないでしょうか。」
社長:「君には大きな貢献をしてもらった。そうしよう。」

このような退職時の会話にはそれぞれ大きな問題点があります。

以下では、それぞれケースの問題点を説明するとともに、どのようにしておけばよかったのかについてご説明します。

2.【ケース1】(合意退職なのか解雇なのか)について

社長:「君が当社で働き始めて1年になるが、ほとんど結果を出せていない。これ以上、当社で働いてもらうことは難しいと思うのだが、君はどう思う。」

社員:「そうですね、自分としては頑張っていると思いますし、このままお世話になりたいと思っていますが、社長がそう言われるのであれば退職するしかないかなと思います。」

社長:「分かってもらえてよかった。それでは今月末で退職ということにしよう。」

社員:「解雇ということですね、分かりました。」

このケースでは、社長は社員に退職勧奨を行っているようですが、最終的に社員は「解雇ということですね、分かりました。」と応じています。

退職勧奨は基本的に自由に行うことができ、社員がこれに応じた場合には、退職について合意が成立したということになるため、退職後に紛争になったとしても会社としては合意が成立したことだけ主張・立証すれば足り、敗訴する可能性は低いことが多いでといえます(応じてもらえた場合、可能であれば退職合意書を交わす、難しい場合でも退職届は提出してもらっておくべきでしょう)。

ところが、解雇ということになると、①30日前に予告等したかや②解雇した理由が労働契約の継続を期待し難いほど重大なものかなどの厳格な規制をクリアしているかが問題となるため(解雇の要件について、詳しくはこちら をご参照下さい)、退職後に紛争になった場合、会社はこうした厳格な規制をクリアしていることを主張・立証しなければならず、敗訴してしまう可能性が少なくないのです。

【ケース1】の場合、社長としては退職に合意してもらったと思っていますが、社員としては解雇されたと思っており、このままだと紛争になってしまう可能性が高い状況です。

そこで、【ケース1】の場合、社長としては、社員の「解雇ということですね、分かりました。」との発言の後、「いやいや解雇ということではない。現時点では退職を勧めているにすぎないのだから、応じないということであればそれでも構わない。あくまで退職に合意してもらえないか確認しているだけだ」といった回答をしておくべきでしょう。

そのうえで、退職に合意してもらえるということになれば特に問題はありませんが、合意しないということになれば、会社としては解雇を検討することになります。

解雇を行う場合は、上記のように非常に厳格な規制がありますので、事前に労働問題に強い弁護士に相談されておくことをお勧めします。

なお、【ケース1】のような会話がなされた後、社員から「解雇理由証明書を送付してください」と言われて、解雇理由証明書を送付してしまっているケースが少なからずあります。

解雇をした場合、社員から解雇理由証明書を求められればそれを交付する必要があるのですが(労働基準法第22条)、それはあくまで「解雇をした場合」です。

ところが、【ケース1】のような場合に解雇理由証明書を交付してしまっているケースがあり、解雇理由証明書を交付してしまった場合、事後的に「解雇ではなく、合意退職だ」と主張することは極めて難しくなります。

そこで、解雇理由証明書の交付を求められた場合であっても、本当に交付しなければならないケースなのか否かは十分に確認しておくべきでしょう

3.【ケース2】(自己都合退職と会社都合退職)について

社員:「大変申し訳ないのですが、事情があって、この度退職させていただきたいと思っております。」

社長:「そうか、活躍してもらっていた君が抜けるのは大きな痛手だが、やむを得ない。分かった。」

社員:「厚かましいお願いなのですが、自己都合退職ではなく会社都合にしてもらえないでしょうか。」

社長:「君には大きな貢献をしてもらった。そうしよう。」

退職時に、社員が「会社都合にしてもらいたい」と要望してくることは少なくありません。

これは、退職の理由が「自己都合」であるか、「会社都合」であるかによって、失業給付の内容が大きく異なるためです(会社都合の方が優遇されます)。

以下、簡単に概要をご説明します。詳細を確認されたい方は、ハローワークインターネットサービス(https://www.hellowork.mhlw.go.jp/insurance/insurance_guide.html)でご確認ください。

(1)自己都合退職の場合の失業給付

自己都合退職とは、自己の責めに帰すべき重大な理由によって解雇され(横領を理由に懲戒解雇されたような場合)、又は正当な理由がなく自己の都合によって退職した場合をいいます(雇用保険法33条1項)。

この場合、7日間の待期期間に加えて、さらに3か月を経過した日の翌日からが給付対象期間となります
また、所定給付日数は、被保険者期間にも左右されますが、90日から150日となります。

(2)会社都合退職の場合の失業給付

これに対し、会社都合退職の場合、「特定受給資格者」となり、失業給付の関係で優遇を受けることができます。

具体的には、会社が倒産した場合や懲戒解雇以外の解雇をされたような場合(能力欠如・協調性欠如などを理由に普通解雇された場合)、7日間の待期期間経過後の翌日からが給付対象期間となります。

また、所定給付日数は、被保険者期間や年齢などに左右されますが、90日から330日となります

このような大きな違いがあるために、社員が「会社都合にしてもらいたい」と要望してくることがあるのです。

(3)社員から、真実は自己都合退職だが「会社都合退職にしてほしい」と言われた場合の対応方法

では、社員から「会社都合にしてもらいたい」と言われた際、どのように対応すべきでしょうか。

結論としては、「会社都合退職にしてほしい」との要望に応ずるべきではありません。以下でその理由をご説明します。

一つ目の理由は、真実は自己都合退職であるにもかかわらず会社都合退職にするということは、国に税金を不当に使わせるということに他ならず、不正受給になってしまうからです。

不正受給となった場合、受給した者がいわゆる「3倍返し」として受給額の3倍の納付を命ぜられることがあるだけではなく、会社にも同様の責任が課されることがあります(雇用保険法10条の4)。

二つ目の理由は、退職した社員が、離職票に「会社都合」と記載されていることを根拠に、後々「不当な解雇である」と訴えてくるリスクがあるからです。

自分から辞めると言ったのに、「そのようなことがあるのか?」と不思議に思われるかもしれませんが、退職時の会話内容を立証できるケースは稀ですし、【ケース1】のように社長と社員とで噛み合わない会話がなされることも少なくありません。

実際に当事務所の事件でも、社長としては自己都合退職したはずの社員が「不当な解雇である」と訴えてきた事例がありますので、十分注意していただければと思います。

大きな理由は上記のとおりですが、そのほかにも、会社都合退職にした場合、一部の助成金が受給できなくなるといったこともあるため、その意味でも慎重に検討していただく必要があるでしょう。

以上のように、如何に会社に貢献してくれた人物であったとしても、「会社都合退職にしてほしい」との要望に応ずるべきではありません。

4.千瑞穂法律事務所ができること

千瑞穂法律事務所では、過去の事例を踏まえ、社員に退職していただく際のアドバイスや社員との直接の交渉等を行っています。

具体的には、退職していただきたい社員がいる場合にどのように退職を勧めるべきか、応じてもらえなかった場合に何をすべきかをアドバイスさせていただいたり、ご要望があれば代理人として社員と直接交渉するといった対応を行っています。

また、退職に合意してもらえた場合であっても、証拠という形で残しておかなければ、後々紛争になることがあるため、予防法務として合意書の作成を行うといったサポートも行っております。

社員が退職する際の対応にお悩みの企業様は、お気軽に当事務所にご相談ください。

5.懲戒処分に関するご対応の弁護士費用

初回ご相談は無料です。その他弁護士費用についてはこちらをご覧ください。

6.ご相談の流れ

千瑞穂法律事務所に業法務にまつわるご相談や各種お困りごと、顧問契約に関するご相談をいただく場合の方法をご説明します。

STEP1:ご相談の予約・お問い合わせ

お電話またはメールにて、千瑞穂法律事務所にご連絡ください。
【1】 お電話の場合 「082-962-0286」までお電話ください。(受付時間:平日9:00〜17:00) 担当者が弁護士との予定を調整のうえ、ご相談日の予約をおとりします。
【2】 メールの場合 「お問い合わせフォーム」に必要事項をご入力のうえ、送信してください。(受付時間:年中無休) 送信いただいた後に担当者からご連絡し、ご相談日の予約をおとりします。
STEP2:ご相談の実施

千瑞穂法律事務所にお越しいただき、弁護士がご相談をお受けします。初回ご相談無料(ご相談時刻:平日9:30〜19:00)

オンライン(Zoom等)でのご相談も可能です。

※ 夜間や土日のご相談をご希望のお客様については、できるかぎり調整しますのでお申し出ください。

STEP3:見積書のご送付・委任契約書等の取り交わし

千瑞穂法律事務所に具体的な対応をご依頼いただく場合、はじめに必要となる弁護士費用や顧問契約の費用等について、見積書をお送りいたします。
見積書をご確認いただき、ご了解いただいた場合には、委任状や委任契約書の取り交わしを行うことになります。
STEP4:事件対応、顧問サービスの開始

委任契約書等の取り交わしを終えた後は、千瑞穂法律事務所において個別案件等の対応を開始いたします。

この場合、当該案件について電話やメールによるご相談が可能です。

進捗についても、適時ご報告いたします(訴訟対応の場合、期日経過報告書をお送りするなどのご報告をいたします)。

7.懲戒処分に関するお問い合わせはこちらからどうぞ

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