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【歯科・クリニック向け】不必要な早出をして着替え・準備は労働時間? 残業代トラブルを防ぐ方法を弁護士が解説

最近、歯科医院やクリニックを含む企業経営者の方から、「スタッフが始業時間よりも随分と早く出勤して着替えや診療の準備をしている時間について、労働時間として残業代を支払わなくてはならないのか」というご相談をよく受けます。このように不必要に早く来ているのに残業代を払わなければならないのかと疑問に思われる経営者の方は少なくありません。結論から申し上げますと医院側が適切な仕組みづくり・対応をしていない場合、そのような時間も「労働時間」に該当し、残業代の支払い義務が生じる可能性が高いです。

本記事では、100社以上の企業様と顧問契約を結び、元裁判官(実務経歴約36年)の弁護士も在籍する千瑞穂法律事務所の弁護士が、「労働時間」に対する基本的な考え方及び残業代トラブルを防ぐために歯科医院・クリニックとしてどのように対応するべきかを裁判例等を用いて説明いたします。

1.労働時間の基本的な考え方

前提として、労働基準法で定められている「労働時間」(労働基準法32条)とは、「労働者が使用者の指揮命令下におかれている時間」をいいます
そのため、スタッフが医院の指示で動いている時間であれば、就業規則上の始業時刻よりも前の時間であり、実際の診療を行っていなくても労働時間として扱われ、残業代等を支払わなくてはならなくなります。
ここで問題になりやすいのが、制服や白衣への着替えの時間、診療前の機械の準備時間が労働時間に該当するかということです。

(1)着替えの時間が「労働時間」にあたるか

制服等に着替える時間が「労働時間」に該当するかですが、過去の裁判例では、会社から作業服の着用を義務付けられていたケースにおいて、着替えの時間は「労働時間」に当たるとしたものがあります(最判平成12年3月9日 三菱重工長崎造船所事件)。そのため、医院の就業規則やマニュアル等のルールとして、出勤してから医院内の更衣室で着替えることが義務付けられている場合、その着替えの時間は医院の指揮命令のもとに置かれていると評価され、労働時間に含まれる可能性が極めて高いです。一方、自宅から制服を着て出勤してもよく、着替える場所も自由であるなら、着替えに係る時間は労働時間には含まれないとされる可能性が高いでしょう。

(2)診療前の機械やカルテの準備時間が「労働時間」にあたるか

診療前の機械やカルテの準備時間が労働時間に該当するかについて上記と同様に医院の就業規則やマニュアルもしくは使用者からの個別の指示として準備行為を行うことが義務付けられている場合、当該準備時間は「労働時間」に該当するとされる可能性が高いです。裁判例においても始業前、始業後に業務遂行の準備として行うことが義務付けられていた点呼の時間が労働時間に当たるとしたものがあります(東京地裁平成14年2月28日)。

一方、スタッフが必要もないのに自主的な早出をしている場合、そのような時間は労働時間に該当しないのが原則です。もっとも、医院がスタッフの不必要な早出を認識していながら注意せずに放置しているような場合、黙示的な使用者からの指示があったとして、労働時間に含まれる危険があります裁判例でも終業時間後における業務への従事が常態化していた場合に、そのような時間が「労働時間」に当たるとしたものがあります(大阪高判平成13年6月28日 京都銀行事件)。

2.残業代トラブルにならないために医院が行うべき対応

労働基準法上の「労働時間」に関する考え方は以上のとおりであり、着替えや準備時間が「労働時間」に該当する場合には残業代等を支払う必要があります。そして、スタッフが勝手に早く来ているだけだと思っていても、医院がそれを放置している場合、後になって未払い残業代として数百万円規模の金額を一括請求される危険がありますスタッフが複数人いれば、過去に遡って請求される金額は医院の経営を大きく揺るがすほどの多額になることも珍しくありません。また、医院として不必要に早く来たり、仕事もないのに残業をしたりして、残業代を不正に取得しようとしているスタッフには適切に対応しなければ、当該従業員との間でトラブルとなるのみならず、適切に働いているスタッフからの不信感にもつながりかねません。
残業代トラブルを防ぐために医院が行うべき対応は以下のとおりです。

(1)就業時のルール及び労働時間の管理体制の整備

スタッフとの残業代トラブルを避けるためには、まず出退勤の時間を正確に記録する必要があります。そのうえで、どこまでが労働時間であるのかを医院として明確にするルールを作ることが何よりも大切です。医院としては、着替えのルールを見直すことや、不要な早出を禁止するルールを就業規則に盛り込み、スタッフに徹底させることが求められます。

(2)ルールに違反した従業員への対応

不要な早出を禁止するようなルールを作るだけでなく、医院の定めたルールを守らないスタッフに対しては指導・処分を検討する必要があります。なお、医院として指導・処分を行う際には労働法上のルールにも注意しておく必要があります。

3.千瑞穂法律事務所ができること

残業代トラブルについては複雑な法的課題があり、放置しておくとスタッフから後に多額の請求をされたり、スタッフによる不正な残業代取得を許容したりすることにもつながりかねませんので、医院として法的に適切な形で対応する必要があります。

もっとも、日々の診療でお忙しい院長先生がご自身で労働環境の実態を把握し、複雑なルールを整備するのは大変な負担になります。

千瑞穂法律事務所では、歯科医院やクリニックの現状を丁寧にヒアリングし、実情に合ったルール作りやスタッフとの適切なコミュニケーション方法をご提案し、トラブルのない安定した医院経営を継続的にサポートいたします。具体的なサポート内容は以下のとおりです。

(1)残業トラブルを回避するシステム構築のサポート

残業トラブルを回避するためには、就業規則上に着替えや不必要な早出・残業に対するルールを明確にしたり、タイムカードの運用を見直したりすることが必要となります。そして、これらのシステム構築は医院の実情に応じてカスタマイズする必要があり、労働法上のルールにも注意する必要があります。

千瑞穂法律事務所では、歯科医院やクリニックの現状を丁寧にヒアリングし、医院の実情に合った就業規則の文言の修正、労務管理の運用の見直し等について弁護士目線でリーガルコメントを行います

(2)不必要な早出・残業を行う従業員への対応

ルールを整備したにもかかわらず、不必要に早く出勤や残業をしたりするなど、医院のルールに従わないスタッフがいた場合、医院としては証拠に残るような形で適切に指導・処分等を行う必要があります。もっとも、スタッフに対する指導・処分は適切な形で行わなければ、スタッフから逆にハラスメントだと訴えられたり、処分が無効だと主張されたりすることにもつながりかねません。

千瑞穂法律事務所では、不必要に早出や残業を行うスタッフの残業代請求を防ぎ、かつ後に無効とならないような適切な対応を助言し、必要に応じて指導書の作成、懲戒処分手続きの実施を弁護士主導で行います

(3)残業代請求を行うスタッフに対する交渉・訴訟対応

ルールを整備しているにもかかわらず、不正な残業代請求を行うスタッフに対しては、院長に代わり千瑞穂法律事務所の弁護士が間に立って交渉を行います。仮に訴訟等になったとしても医院の立場から適切に対応いたします。これにより、院長は通常業務に専念することができます。

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4.弁護士費用について

弁護士費用は一般的にそれにより生じる経済的利益(会社に生じた損害等)によって個別に決定されます。

当事務所では個別の事案ごとの個別依頼のほか、継続的なサポートを可能にする顧問契約による対応も承っております。詳しくは、以下のサイトをご確認ください。
https://kigyo-law.net/komon/#i3

5.よくあるご質問

Q 残業代について、不必要に早く来た際の時間は労働時間に含まれないことを説明し、従業員も納得しています。その場合でもこの記事のような制度の整備が必要なのでしょうか。

A はい、ご質問の場合でも不要な残業代を支払わないようにする制度を整備する必要性は極めて高いです。当事務所にご相談に来られる方も多くのケースで従業員には説明していたものの、指導書などの証拠に残るような形での説明をしておらず、トラブルになるというケースも非常に多いのが実情です。

 

Q 残業代を争われる場合、どのような形で請求されるのでしょうか。

A 直接口頭で請求される場合のほか、弁護士等を通じて労働審判、訴訟提起という形で請求される場合もございます。千瑞穂法律事務所では上記のどのような場合であっても対応可能です。

 

Q 残業代を争われてから弁護士に依頼するのでは遅いのでしょうか。

A 残業代を争われてから弁護士に依頼すると、残業代請求を受け入れなければならないケースが多いです。実際、当事務所での対応実績を見ても、トラブルが表面化する前の早い段階から相談に来ているケースの方が医院が支払うべき残業代を大幅に抑えられています。

 

Q 就業規則に準備時間は労働時間ではないと明記していれば問題ないでしょうか。

 結論としてそのような記載のみでは不十分である可能性が高いです。本記事に記載のとおり、着替えの際のルールを明確にしたり、不必要に早く来る社員には指導を行ったりするような仕組みを構築するなど、医院の実情に応じて対応する必要があります。

6.残業問題に関するお悩みは広島の千瑞穂法律事務所にご相談ください

スタッフの残業問題には医院として適切に対処しなければ、複数人の従業員から数百万の損害賠償請求をされるほか、ルールを遵守するスタッフが不当に扱われる結果、優秀な人材の流出や採用難といった深刻な人材不足にも発展してしまう可能性があります。

千瑞穂法律事務所は、使用者側の労働法務を中心分野としており、現在、100社を超える企業様と顧問契約を締結しております。当事務所では、使用者側の弁護士として、企業の経営者や人事担当者様が抱える悩みに寄り添い、全面的にサポートしていきます。

また、千瑞穂法律事務所には、約36年という長期にわたって裁判官を務めていた弁護士もおり、裁判官の視点も踏まえた解決方法の提示をすることも可能です。

「現在の労務管理に法的な問題はないか」「現在、スタッフの労務管理に苦慮している」といったお悩みを抱える医院・クリニック様は、お気軽に千瑞穂法律事務所にご相談ください。

本記事は執筆時点における関係法令および裁判例等を基礎として作成されたものであり、ご覧いただく時期によっては法令の改正や裁判例の変更等がなされている場合がございますのでご注意ください。なお、本記事は各位のご参考のために一般的な情報を簡潔に提供することを目的としたものであり、当事務所の法的アドバイスを構成するものではありません。具体的事案への適用にあたっては、当事務所の弁護士まで直接ご相談くださいますようお願いいたします。