ここでは労働問題について訴えを起こされた会社が知っておくべきこと、一般的な対応方法・費用についてご説明します。
対応方法のみ知りたい方は「2.労働関係訴訟の会社の対応方法」をご覧ください。
目次
1.労働関係訴訟について会社が知っておくべきこと
訴訟(そしょう)とは、裁判によって企業と従業員などの紛争を法的に解決する手続です。
1-1.労働関係訴訟の現状と、企業に必要なこと
このように労働関係訴訟は非常に多くなっています。
多くの企業で訴訟対応が必要になっている現状を踏まえると、裁判所で争われることを想定した人事労務対応が必要な時代になっているといえるでしょう。
1-2.平均審理期間は?
このように、労働関係訴訟は特に時間のかかる訴訟であり、平均して1年以上の期間がかかる訴訟であるということにご注意いただければと思います。
時間のかかる訴訟であるということは、それだけ訴訟に対応する労力・時間・コストがかかるということになります。
1-3.訴訟の流れ
訴訟手続の大まかな流れは次のとおりです。
1-4.労働関係訴訟の終結は「和解」が多い
民事第一審訴訟(全体)の場合、和解で終結しているものは35.8%ですが、労働関係訴訟の場合、和解で終結しているものは61.5%に上ります。(裁判の迅速化に係る検証に関する報告書 (第7回))
これは、例えば解雇無効を争っているような場合でも、実際に会社に戻るということは難しいことが多いといったことが背景でしょう。
労働関係訴訟は金銭による解決になじみやすいといえます。
2.労働関係訴訟の会社の対応方法
労働関係訴訟については、会社側・労働者側双方に訴訟代理人が選任されているケースが実に83.9%に上っており(裁判の迅速化に係る検証に関する報告書 (第7回))、専門知識を有する代理人弁護士の選任は、ほぼ必須の状況にあります。
2-1.調査・聴取
まず最初に行うべきは、問題となっている労働者との「労働契約の内容」を正確に把握することです。具体的には「労働条件通知書や雇用契約書、就業規則等の客観資料」を集め、どのような契約内容となっているかを把握することが出発点となります。
続いて、訴状に記載されている事実関係について、調査を行うことになります。訴状に登場する社員はもちろん、関係する社員すべてに事実関係を詳細に確認していくことになります。
調査・聴取すべき事項については、争いとなっている問題によって様々ですが、例えばパワハラ発言が問題となっている場合「いつ、どこで、誰が、どのような経緯で、どのような言動をしたのか、普段の関係性はどのようなものであったか」などについて、具体的に確認しておく必要があります。
なお、調査資料を拝見すると、まれに「パワハラ発言をした」といった抽象的な記載をみかけることがあります。
しかし、重要な事実は具体的にどのような発言や行動があったかです。「ばかやろうと発言した。それは・・といった事情があったためです」といったように具体的な経緯や具体的な発言内容を確認しておくことが重要です。
また、調査にあたっては、客観資料を確保することがとても大切です。関係社員から聴取する際には、例えば業務日誌やLINE、メールなど事実を裏付ける資料がないかを確認しておくべきでしょう。
そうした資料を確認することで、関係社員の記憶が呼び戻されることもありますし、労働者と会社の言い分が食い違う場合の判断材料にもなります。
2-2.書面の作成・提出、証拠の提出
調査・聴取の結果を踏まえて、答弁書や準備書面、証拠説明書等を起案することになります。
ここで注意すべきことは、事実と評価を分けて記載することです。
「事実」とは
調査・聴取の結果確認できた、実際に起った出来事のことであり、いつ、どこで、誰が、誰に対して、どのようなことを行ったかというものです。
事実については、裏付けとして客観資料を証拠として提出することが重要です。
「評価」とは
そのような事実について、会社として法的にどのように評価すべきかの見解を述べるものです。
この点については、多くの場合、過去の判例や法令等に関する記載を行うことになります。
2-3.期日への出廷
労働者・会社の双方が代理人弁護士を選任している場合期日には代理人弁護士のみが出廷すれば足ります(大企業の場合、法務部や訴訟担当の方が同席されることも多いです)。
この場合、双方の主張・立証は基本的に書面によって行われているため、期日での口頭でのやりとりはあまり行われません。
いずれか又は双方が代理人弁護士を選任していない場合
期日において裁判所から主張や立証に関する説明を求められ、口頭で回答することになる場合も多く見受けられます。
当然ながら、期日における発言は有利にも不利にも作用するため、特に慎重な回答を行うべきでしょう。
2-4.証人尋問・当事者尋問
会社・労働者の主張がひと通り行われた段階で、証人尋問・当事者尋問が行われることになります。
証人尋問・当事者尋問とは、その人の見聞きした事実についての記憶を聞き出し、その供述を証拠とするものです。
尋問では、自分の選任した代理人弁護士(又は裁判官)や相手方(又は代理人弁護士)、裁判官から質問が行われるところ、会社として認識している事実を的確に回答するためにも、十分な事前準備を行うべきです。
具体的には、訴訟において問題となっている事実関係を時系列で整理し、事前に裁判官や相手方の弁護士等から質問されそうなことを想定問答としてまとめておくと良いでしょう。
3.労働訴訟について千瑞穂法律事務所ができること
3-1.裁判所とのやりとり
裁判所に対する要望について、上申書を提出するといったことも行います。
3-2.調査・聴取
3-3.書面の作成・提出、証拠の提出
かかる答弁書案については、提出前に会社にお送りし、内容に問題がないか否かのご確認をいただいてから、裁判所に提出します。
3-4.期日への出廷
もっとも、同席を希望される場合には、弁護士とともに出廷していただくことも可能です。
期日において、相手方の弁護士や裁判官から質問がなされることがありますが、その場合でも弊所の弁護士が対応します。
3-5.証人尋問・当事者尋問の予行演習
予行演習では、本番と同じ程度の時間を設定し、千瑞穂法律事務所が裁判官や相手方の弁護士だった場合に質問するであろう事項を、実際に質問し、社員等に回答していただいています。
必ずしもそのままの質問が行われるわけではありませんが、質問に回答するという経験をしていただくことは、記憶に従った正確な回答を行うために有効と考えています。
3-6.裁判の見通しについて
裁判所から和解を勧められた場合や調査・聴取が終わった段階などにおいて、裁判の見通しをお伝えしています。
このような見通しを一つの判断材料としていただくことで、会社として最も良い解決につながると考えています。
労働問題について訴えを起こされてお困りの場合、千瑞穂法律事務所にお任せください!
4.労働訴訟対応の豊富な対応実績・事例があります
労働問題の解決事例はこちらをご覧ください。 他にも多数の実績がありますので、お気軽にお問合せください。
5.労働訴訟対応の弁護士費用
初回ご相談は無料です。その他弁護士費用についてはこちらをご覧ください。
6.ご相談の流れ
千瑞穂法律事務所に企業法務にまつわるご相談や各種お困りごと、顧問契約に関するご相談をいただく場合の方法をご説明します。
【1】 お電話の場合 「082-962-0286」までお電話ください。(受付時間:平日9:00〜17:00) 担当者が弁護士との予定を調整のうえ、ご相談日の予約をおとりします。
【2】 メールの場合 「お問い合わせフォーム」に必要事項をご入力のうえ、送信してください。(受付時間:年中無休) 送信いただいた後に担当者からご連絡し、ご相談日の予約をおとりします。
※ 夜間や土日のご相談をご希望のお客様については、できるかぎり調整しますのでお申し出ください。
見積書をご確認いただき、ご了解いただいた場合には、委任状や委任契約書の取り交わしを行うことになります。
この場合、当該案件について電話やメールによるご相談が可能です。
進捗についても、適時ご報告いたします(訴訟対応の場合、期日経過報告書をお送りするなどのご報告をいたします)。
第1回期日の出廷は常に必要というわけではありませんが、多くの場合は出廷することになります。
弁護士が代理人として選任されている場合は、会社の方が出廷する必要はありません。
大企業の場合は法務部や訴訟担当の方が同席されることも多いです。
2.その後は、1~2か月程度の間隔を空けて期日が設けられ、基本的には、期日の1週間程度前までに会社側・労働者側が交互に書面を提出し、期日に出廷するということが繰り返されます。
3.そして、双方がお互いの主張を書面で出し終えた段階で、証人尋問や当事者尋問などが行われます。
(証人尋問・当事者尋問とは、その人の見聞きした事実についての記憶を聞き出し、その供述を証拠とするものです。)
証人尋問では、原則として、はじめに尋問の申出をした当事者が尋問を行います。
次に、相手方の当事者が尋問を行い、これに続いて、尋問の申出をした当事者が再度尋問を行います。(民事訴訟法規則113条1項)
こうした尋問は、代理人として弁護士が選任されている場合、弁護士が行います。
その場での臨機応変な対応が必要となるため、弁護士としては緊張感とやりがいを感じる場面です。
4.当事者による尋問の後は、ほとんどのケースで裁判官からの尋問も行われます。
裁判官からの問いは、当然ながら心証に大きく影響を与えるものであり、落ち着いて的確に答える必要があります。
5.尋問を終えた後は、和解がふさわしい事案については、裁判所から和解を勧められます。
この場合、裁判所が一定の心証を開示した上で、和解案が示されることが多く、会社としては提示された和解案に応ずるか否かを判断することになります。
和解に応じた場合、その時点で訴訟は終結することになります。
6.いずれかの当事者が和解を拒否した場合やそもそも和解勧試が行われない場合、判決がなされることになります。
判決は、結審の1~3か月程度後に行われることが多いです。