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どのような場合に「働かせすぎ」たといえるか

執筆者 長泉地薫大

千瑞穂法律事務所 弁護士

早稲田大学国際教養学部卒業、同法科大学院を修了後、事業会社勤務。未払い残業代請求をはじめとした人事労務問題を数多く手掛けており、法律相談、訴訟及び労働審判対応を行う。残業代、高年齢者雇用安定法、不当要求行為対策等のセミナーを実施。

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ここでは「働かせすぎ」や過重労働について、近年積極的に行われている働き方改革とあわせてご説明します。

本記事の目次は次のとおりです。

1.過重労働の定義とは

過重労働とは、時間外・休日労働が月100時間を超えることもしくは2~6か月平均で月80時間を超えることです。このような過重労働が続くと、様々な健康障害を引き起こす危険性があります。

長時間労働を放置していると、心身ともに疲労が蓄積し、重大な疾患や事故に繋がる恐れがあります。時間外・休日労働が月45時間を超えて長くなるほど、業務と脳・心臓疾患の発症との関連性が強まります。また、疲労の蓄積により集中力を欠くと、業務中に思いがけない事故に遭遇し、怪我を負うおそれがあります。

これらのリスクを予防・回避するため、働き方改革に取り組むことが非常に重要になります。

2.働き方改革とは

2018年6月29日に働き方改革関連法(働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律)が成立し、同年7月6日に公布されました。

働き方改革関連法は、労働基準法、労働安全衛生法、パートタイム有期雇用労働者法(短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律)等、労働者派遣法(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律)、労働時間等設定改善法(労働時間等の設定の改善に関する特別措置法)、労働法分野における様々な法律を一括改正するものです。

ここでは、主な改正点についてご説明します。

(1)時間外労働の上限規制

改正前における時間外労働の上限は、「限度基準告示」といわれる厚生労働省の「労働基準法第36条第1項の協定で定める労働時間の延長の限度等に関する基準」(平10・12・28労告154)により、時間外労働の限度時間が定められていました。しかしながら、改正前の限度基準告示には罰則による強制力がなく、労使合意により「限度時間を超えて労働しなければならない特別の事情」が生じたときに限度時間を超えて延長することができる『特別条項付36協定』を締結しておくことで、限度時間を超えた時間外労働が可能となっていました。

このような状況を変えるため、改正法では以下のような上限規制及び罰則が設けられました。

ア 36協定における時間外労働は月45時間・年360時間を原則とする。

イ 臨時的な特別の事情があって36協定に「特別条項」を設ける場合でも、以下の規制を守る必要がある。

㋐月45時間を超える特別条項が適用される月数は1年について6か月(年6回)まで

㋑1年の時間外労働の上限は720時間

㋒1か月の時間外労働は休日労働を含めて100時間未満

㋓複数月(2か月から6か月)の平均で、時間外労働と休日労働の合計時間は80時間以内

(2)年5日の時季指定義務

労働基準法の改正により、10日以上の年次有給休暇が付与される労働者を対象として、付与日から1年以内に使用者が5日について時季を指定して年次有給休暇を取得させなければならないという制度ができました。

5日の年次有給休暇からは、①労働者が自ら請求・取得した日数、②計画年休(年次有給休暇の計画的付与制度)で与えた日数は控除されます。

(3)フレックスタイム制

フレックスタイム制は、一定の期間(清算期間)の総労働時間を定めておき、労働者がその範囲内で各日の始業及び終業の時刻を選択して働くことにより、労働者が仕事と生活の調和を図りながら効率的に働くことを可能とする制度です。改正労働基準法では、仕事と生活の調和を一層図りやすくするため、フレックスタイム制における清算期間の上限がこれまでの1か月以内から3か月以内に延長されました。

清算期間が1か月を超える場合には、就業規則その他これに準ずるものによる規定と労使協定の締結が必要です。

(4)高度プロフェッショナル制度

労働基準法の改正によって、高度プロフェッショナル制度とは、高度の専門的知識等を有して、職務の範囲や年収要件その他の要件を満たす労働者について、労働基準法の労働時間、休憩、休日及び深夜の割増賃金に関する規定を適用しないこととする制度ができました。

高度プロフェッショナル制度の導入に当たっては、以下が必要になります。

ア 対象労働者は、高度の専門的知識等を要する業務に就いており、一定の年収要件を満たす必要があること

イ 労使委員会の設置が必要であること

ウ 労使委員会による決議、所轄労働基準監督署長への決議の届出が必要であること

エ 対象労働者本人の同意が必要であること

オ 対象労働者の健康を確保するため、健康管理時間の把握、休日の確保、選択的措置、健康管理時間等に応じた健康・福祉確保措置等の実施が必要であること

このように、高度プロフェッショナル制度を導入するための障壁が多いため、導入を検討される場合には事前に専門家に相談することが重要です。

3.千瑞穂法律事務所ができること

千瑞穂法律事務所(広島)は、使用者側に立って数多くの労働問題を取り扱っている法律事務所です。

働き方改革関連の問題についても、個別具体的にケースに応じてどのように就業規則等を定めておけばよいか、法令に違反した場合のリスクはどのようなものがあるか、また、従業員から残業代等を請求された場合の対応などについて、リーガルコメントを行っております。

従業員をどの程度の時間就業させるべきかについて悩まれている広島の企業様は、お気軽に千瑞穂法律事務所にご相談ください。