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【ハラスメント】パワハラ防止法が2020年6月施行!違反による罰則規定・ガイドラインは?

パワハラ防止法

パワハラ防止法の定義と、企業に義務付けられる内容を知りたい!

質問

2020年6月、いわゆる「パワハラ防止法」が施行したと聞きました。
中小企業である当社としては、どのような対応をしておけばよいのでしょうか?

当社ではこれまでパワハラ問題が発生したことはないのですが、法律に従った適切な運営を行っていきたいと考えています。

回答(代表弁護士 加藤 健一郎

代表弁護士 加藤
2019年5月29日「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」が改正され、初めてパワーハラスメント防止対策の法制化がなされました。
パワハラ防止法とは「改正労働施策総合推進法」の通称です。

企業は「パワハラ防止法」の施行を受け就業規則の改定や、相談窓口の設置、ハラスメント申告があった場合に迅速・適切な対応ができる体制の構築などが必要となります!

では、パワハラ防止法の概要と、具体的な対応策についてご説明します。
パワハラ防止法とは
1.まず職場におけるパワハラの定義とは?
パワハラ防止法では、パワハラを下記の3つを満たすものとして定義しています(同法30条の2第1項)
(1) 優越的な関係を背景とした言動
 (上司の言動だけではなく、同僚や部下の言動も問題となりうる)
(2) 業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの
 (その範囲内の指導等は許される)
(3) 労働者の就業環境が害されるもの
 (被害者が主観的にハラスメントを受けたというだけでは足りず、一定の客観性が必要となる)

これだけでは、理解が難しいと思いますので、厚生労働省のパワハラに当たる言動の代表的な類型を6種類ご紹介します。

(下記イラストは厚生労働省のサイト「明るい職場応援団」より抜粋)
①身体的な攻撃
蹴ったり、殴ったり、体に危害を加えるパワハラ
②精神的な攻撃
脅迫や名誉毀損、侮辱、ひどい暴言など精神的な攻撃を加えるパワハラ
③人間関係からの切り離し
隔離や仲間外れ、無視など個人を疎外するパワハラ
④過大な要求
業務上明らかに不要なことや、遂行不可能な業務を押し付けるパワハラ
⑤過少な要求
業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じたり、仕事を与えないパワハラ
⑥個の侵害
私的なことに過度に立ち入るパワハラ
2.違反による罰則規定は?
「パワハラ防止法」に罰則規定はありません。

しかし「厚生労働大臣が必要と認めれば、事業主に対して助言、指導または勧告をすること」ができるとしており、事業主が勧告に従わない場合は、その事実を公表する可能性があるとしています。

3.企業の必要な対応は?
改正法は事業主に対し「労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない」と規定し、雇用管理上の措置の義務付けを行いました(同法30条の2第1項)

では、「措置」とは具体的にどのようなものでしょうか?
(1) 事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発
それと同時に、以下の3点を就業規則(あるいは「ハラスメント規程」など)に盛り込むことが求められています。
①行為の禁止
②懲戒
③相談、苦情への対応

(2) 相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備

(3) 職場におけるパワーハラスメントに係る事後の迅速かつ適切な対応

(4) 1~3までの措置と合わせて、相談者・行為者等のプライバシーを保護すること、その旨を労働者に対して周知すること、パワハラの相談を理由とする不利益取扱いの禁止

代表弁護士 加藤
義務化の時期ですが、大企業では2020年6月、中小企業では2022年4月から施行されます。

従業員からの訴えへの対応方法について
就業規則等への規定の追加について
相談・苦情窓口の設置と諸手続きについて
など、ご不明な点がありましたら、お気軽にご相談ください!
※ 記事の内容は、作成当時の法令・判例等に基づいた内容です。最新法令・判例等のご確認をお願いいたします。

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