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使用者側弁護士が教える、協調性がない従業員への対応方法

職場内のチームワークを乱す社員や思いやりをもって業務を円滑に進めることが出来ない社員がいた場合、会社としての生産性が低下するばかりか、場合によっては優秀な人材が退職してしまうなど大きな影響が生ずることもあります。

ただし、このように協調性がない社員だからといって安易に解雇することはできません。十分な理由もなく解雇してしまった場合、高額な損害賠償をしなければならなかったり、解雇が無効とされ社員として復帰することになる場合もあるからです。

そこで、本記事では、協調性がない社員に対してどのような対応を取ればよいのかについて、ご説明します。

1. 協調性を欠いている問題社員がいる場合の弊害

職場に協調性を欠く社員がいた場合、周囲の社員の就業環境を悪化させ、他の社員が働きにくくなったり、業務遂行がスムーズにいかなくなったりして、機能不全をもたらすことがあります。

当事務所でご相談を受けたある会社は、個人としての専門知識や経験は豊富なものの、他の社員が行っている掃除やごみ捨て、電話対応などのいわゆる雑務を全く行わず、他の社員との間で軋轢が生じてしまっているという協調性のない社員に悩まれていました。

また、別の会社では、ある社員が、業務指示を受けた際に逐一理由を尋ね、その理由に納得できないと協力をせず、他の社員がその社員を敬遠するようになった結果、その社員が孤立していったという事態に悩まれていました(このケースでは、一人の社員対二十数名の社員という状況になってしまい、いじめにならないような対応も求められる難しい事案でした)。

その他にも、挨拶を行わない、業務上の指示・連絡に対し無視をするといった問題行動を取る社員に悩まれている会社も少なからず存在します。

このように協調性を欠く社員が存在した場合、そうした社員のフォローをしなければならない他の社員が不満を抱き、業務に協力的でなくなってしまうことがありますし、ギスギスした職場環境に耐えかねて退職してしまうこともあります。

そこで、以下では、協調性を欠く問題社員への具体的な対応方法をご説明します。

2.協調性を欠いている問題社員への具体的な対応

(1)協調性を欠くことの調査

ある社員の協調性に欠ける言動が問題となった場合、まず実施するべきは同僚や部下、上司から、詳しい話を聴取すること(事情聴取)です。

この点、ある社員に協調性がないといっても、具体的にどのような言動が問題なのかを特定しなければ、対応することはできません。

なんとなく感じが悪いといった印象だけでは会社として対応していくことはできないため、どのような言動が問題なのかを明確に確認していくことが求められます(このことは、例えば、「パワハラされた」との申告があった場合に、頭を殴られたのか、「死ね」と言われたのか、足で蹴られたのか等について、具体的に確認していくことと同様です)。

そこで、同僚や部下、上司から、その社員が協調性に欠けることを示す具体的な事実を確認していくことになります。

その際は、いつ、どこで、問題の社員が、誰に対し、どのような言動を取ったのか、そのような言動がなされた際の経緯はどのようなものだったのかなどを詳細に聴取し、記録として残しておくことが重要です。

なお、日時や発言内容などが詳細には特定できない場合、例えば6月下旬や夏頃、「死んでしまえというようなことを言われた」といった幅のある内容でもよいので残しておくべきでしょう。

また、質問者と回答者の発言内容については、できる限り忠実に書き起こしたものを記録として残しておくべきです。

こうした対応が難しい場合、録音または録画を行い、そのデータを保管しておくことでも代用可能です。

このように同僚や部下、上司からの事情聴取を終えた後は、協調性に欠けるというその問題社員に事情聴取を行うことになります。

その際の注意点ですが、事情聴取の場はその社員に弁明の機会を与える場でもあるため、同僚や部下、上司から確認した事実について、淡々と事実確認を行っていくべきです。この時点では注意や指導は行わない方がよいでしょう。

注意や指導は、本人の弁明を踏まえた上で、やはり本人の言動に問題があるということが確認された後に行うことになります。

事情聴取を終えると、その社員がどのような言動を行っていたのか事実認定を行うことになりますが、この認定は容易ではありません。

というのも、事情聴取の際はそれぞれの方がそれぞれの目線で話をしてくるため、真っ向から言い分が異なることが多いためです。

このような場合、会社は、裁判の時の裁判所のように、何が正しいのかという判断(事実認定)をしなければなりません。

こうした認定を間違うと後々大きな紛争になってしまうことがあるため、この段階で労働問題に詳しい弁護士に相談しておくことをお勧めします。

(2)協調性不足の程度・影響の確認

協調性不足による解雇が有効とされるためには、その社員の協調性の不足の程度が甚だしく、そのことを原因として業務に多大な悪影響が生じていることが必要となります。

そこで、(1)に記載した事情聴取を終えた後は、問題となっている社員の協調性不足がどの程度なのか、そのことが業務にどのような影響を与えているかを検討することになります。

この点、東京地判平成19.9.14では、「ある社員が、入社直後から上司や同僚に対して批判的な態度をとり、会社の運営について疑問を投げかけ、周囲からの反感を引き起こしていた。その後、上司や同僚との葛藤が次第にエスカレートし、口論や対立が広がっていた」という事案について、解雇が有効とされました。

また、東京地判令和2.6.10では、「ある社員が、自己の見解に固執して他の意見を尊重せず、協調的な姿勢が欠けていた結果、組織としての業務遂行が阻害された」という事案について、解雇が有効とされています。

こうした裁判例を参考に、問題となっている社員の協調性不足がどの程度なのか、そのことが業務にどのような影響を与えているかを検討し、その程度や悪影響が大きいということであれば、解雇を含めた対応を検討していくことになります

他方、それほど大きな問題ではないといえる場合には、ひとまずは(3)に記載する注意・指導を行うことに留めるということになるでしょう。

なお、この点についても、個々の事案において裁判例を参考にした法的評価を行う必要があるため、弁護士に相談しておくことが望ましいところです。

(3)改善可能性の有無の確認

(2)の確認の結果、協調性の不足の程度が甚だしく、そのことを原因として業務に多大な悪影響が生じているといえる場合でも、直ちに解雇を行うことは避けるべきでしょう。

というのも、解雇は最終手段であるため、協調性の不足により問題が生じているとしても、解雇前に改善可能性がないかを確認しておく必要があるのです。

そこで、会社としては、協調性に欠ける問題社員にまずは注意・指導しておく必要があります。

この点、会社によっては「協調性の不足については注意しても改善されない」と考え、何の注意もされずに直ちに解雇されているケースがあります。

しかし、実際は注意によって改善する可能性が低いとしても、本人に改善の機会を与えるということは非常に重要ですので、必ず実施するようにしていただければと思います。

そして、注意・指導を行ったことについては、具体的にどのような注意・指導を行ったのかを事後的に立証できるように書面化(または録音・録画)しておくことが重要です。

また、その際は注意された社員の反応も含めて書面化しておくことも大切なポイントです。

注意・指導を行っても改善が認められない場合、次の対応としては、配置換えや懲戒処分を実施することが考えられます。

配置換えは企業規模によっては難しい場合もありますし、常に必須の対応という訳ではありません。

もっとも、配置換えをした先でも協調性不足の言動が確認されるといったことになれば、解雇を補強する事情になります。

また、協調性不足を原因とする具体的な問題行動に対しては、懲戒処分などを実施し、「次に同様の言動があれば解雇せざるを得ない」といった警告を行っておくことも有効です。

上記の改善可能性については、大阪地決平成14.4.18が、「これまで会社からの注意を受けたことはあったものの、処分を受けたことはなく、会社としては、なお個別指導等を行った上で全く改善の余地がないかどうか見極める必要があったというべきであり、特段本人らの弁解を聞く機会も設定せず、いきなり解雇という処分を行ったことは、重きに失する」といった判断を示していることに注意が必要でしょう。

(4)退職勧奨

以上の対応を行ったにもかかわらず、なお協調性に欠ける言動をとり、他の社員とともに業務を遂行することが困難な場合、解雇を検討することになります。

もっとも、上記で述べてきたように、協調性の不足による解雇の有効性が問題となった場合、具体的な事実を立証する必要があること、改善可能性がないことまで必要になることなどからすれば、退職勧奨を行い、退職について合意していくという方法が穏当です。

退職勧奨の進め方については、こちらをご参照ください。

(5)解雇

上記退職勧奨を行い、合意していただければ解決ですが、合意していただけない場合、解雇を行うことになります。

解雇を行う場合、注意すべきことがありますので、こちらもご参照ください。

3.千瑞穂法律事務所ができること

千瑞穂法律事務所では、過去の事例を踏まえ、協調性に問題のある社員への対応について全面的にサポートをしております。

具体的には、協調性に問題のある社員がおられる場合、どのような言動が問題となっているのかについて社員の方々に事情聴取を行い、その結果を踏まえて、今後の方針についてリーガルコメントを提供するといったことを行っております。

また、社内で事情聴取等の調査を終えられているようなケースでは、調査資料を共有いただいた上で、今後の対応策について書面でコメントを行うということも行っております。

このように協調性に問題のある社員がおられる場合、どのように対応すべきかをアドバイスさせていただく他、ご要望があれば社員と直接交渉するといった対応を行っています。

そのほか、協調性に欠ける社員と退職について合意できた場合には、事後的な紛争を予防するという観点から、合意書の作成を行うといったサポートも行っております。

協調性に問題のある社員の対応にお悩みの企業様は、お気軽にご相談ください。

4.懲戒処分に関するご対応の弁護士費用

初回ご相談は無料です。その他弁護士費用についてはこちらをご覧ください。

5.ご相談の流れ

千瑞穂法律事務所に業法務にまつわるご相談や各種お困りごと、顧問契約に関するご相談をいただく場合の方法をご説明します。

STEP1:ご相談の予約・お問い合わせ

お電話またはメールにて、千瑞穂法律事務所にご連絡ください。
【1】 お電話の場合 「082-962-0286」までお電話ください。(受付時間:平日9:00〜17:00) 担当者が弁護士との予定を調整のうえ、ご相談日の予約をおとりします。
【2】 メールの場合 「お問い合わせフォーム」に必要事項をご入力のうえ、送信してください。(受付時間:年中無休) 送信いただいた後に担当者からご連絡し、ご相談日の予約をおとりします。
STEP2:ご相談の実施

千瑞穂法律事務所にお越しいただき、弁護士がご相談をお受けします。初回ご相談無料(ご相談時刻:平日9:30〜19:00)

オンライン(Zoom等)でのご相談も可能です。

※ 夜間や土日のご相談をご希望のお客様については、できるかぎり調整しますのでお申し出ください。

STEP3:見積書のご送付・委任契約書等の取り交わし

千瑞穂法律事務所に具体的な対応をご依頼いただく場合、はじめに必要となる弁護士費用や顧問契約の費用等について、見積書をお送りいたします。
見積書をご確認いただき、ご了解いただいた場合には、委任状や委任契約書の取り交わしを行うことになります。
STEP4:事件対応、顧問サービスの開始

委任契約書等の取り交わしを終えた後は、千瑞穂法律事務所において個別案件等の対応を開始いたします。

この場合、当該案件について電話やメールによるご相談が可能です。

進捗についても、適時ご報告いたします(訴訟対応の場合、期日経過報告書をお送りするなどのご報告をいたします)。

6.懲戒処分に関するお問い合わせはこちらからどうぞ

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